上場株式の贈与

上場株式の生前贈与の利点

みなさんの中には上場株式を所有されている方もおおいのではないでしょうか。下がれば上がるものです。将来上がると考えているなら、上場株式の贈与を考えてみたらいかがでしょうか?

 上場株式を相続または贈与によって取得した場合、基本的にその評価額は次の金額のうち最も低い価額になります。
1.相続または贈与のあった日の終値
2.相続または贈与のあった月の日々の終値の平均値
3.相続または贈与のあった月の前月の日々の終値の平均値
4.相続または贈与のあった月の前々月の日々の終値の平均値
ここで、平成20年12月20日に長男にA株式を2,000株贈与したと仮定して、前号で説明しました暦年課税を採用して贈与税を計算してみます。
1.平成20年12月20日の終値 4,000円
2.平成20年12月中の平均値  3,000円   
3.平成20年11月中の平均値  1,300円
4.平成20年10月中の平均値  1,000円
上記1~4の中で最も低い価額は4なので、評価額の計算に用いる価額は1,000円となります。
2,000株×1,000円-110万円(基礎控除額)=90万円(課税価格)
課税価格90万円の税率は10%ですので、90万円×10%=9万円(納付税額)となります。

贈与しようと思いながら月日過ぎ、株価の急騰し続けたとします。あわてて、2月に贈与した場合の評価額が3,000円(12月中の平均値)になった場合は納付税額は当然増えます。どのくらい増えるか見てみましょう。
2000株×3000円-110万円=490万円(課税価格)
課税価格490万円の税率は30%で控除額が65万円ですので、
490万円×30%-65万円=82万円(納付税額)となります。
したがって、12月20日に贈与した場合と比較して73万円の増税となることがわかると思います。上場株式は常に変動しますので、現金や他の資産と比べて、できるだけ株価の低い時期に贈与しておくことが節税につながります。

 

上記では株式を贈与しましたが、株式を売却して現金を贈与した場合は、どうなるでしょうか?
この場合、12月20日の株価は4,000円ですので、2,000株×4,000円-110万円=690万円(課税価格)となり、690万円×40%-125万円=151万円となり、12月20日に株式を贈与した場合と比較して142万円の増税となります。親族の喜ぶ姿が見たいということで現金を贈与される話を聞きますが、株式が急騰している場合は現金を贈与されるのではなく株式のままで贈与されることをお勧め致します。
 

相続税対策は相続開始前に行う「事前対策」と相続開始後に行う「事後対策」があり、今回ご紹介した生前贈与は「事前対策」の中でも主要な相続税の節税対策です。相続税対策の基本は財産の評価額を出来るだけ下げる事です。相続開始後に評価額を下げても意味がありませんが、中には相続開始後であっても節税対策をすることができます。しかし、これらの多くは、「事前対策」をしっかり行った上で、その効果を十分発揮できるように行う「事後対策」ですので、事前に相続税対策を時間をかけて行い、「事後対策」を実施する必要があります。
相続税対策は「事前対策」と言っても過言ではないほど「事前対策」が重要な意味を持ちます。

※上記の記事に関しては、平成22年(現行作成時)税制により執筆しております。実際の制度の利用に関しては、税理士に御相談ください。

 

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