離婚に伴う財産分与が問題となった例

相続税は、人の死亡によって財産が移転する場合にその財産に対して課される租税です。相続税によって富の集中を防止するという効果を果たしています。

一方、贈与税は、贈与によって財産が移転する場合にその財産に対して課される租税です。贈与税が採用された背景には、相続税のみの場合だと生前に財産を贈与することによって、相続税を簡単に回避することができるためです。実際にイギリスでは、1974年以前は、相続税のみ採用していたため、生前に財産を贈与することで、巨大な財産の世襲が行われていました。したがって、日本においては、このような租税回避を防ぐ意味でも相続税を補完する役割として贈与税が採用されているのです。また、贈与税が相続税の負担より大きいのもこのような理由によると言われています。
  このような財産の贈与をめぐって、最も頻繁に問題となるのは夫婦間の問題と言われており、最近、特に問題となっているのが離婚による財産の分与です。たとえば、夫婦で暮らしていた土地・建物を、妻が慰謝料として財産分与された場合に、贈与税が課税されるのかという問題がありますが、この問題については、原則として離婚による財産の分与や慰謝料の支払には贈与税が課税されることはありません。
  また、離婚による戸籍の除籍手続きをする前に、その財産の名義を、夫名義から妻名義に変更している場合についても、その財産が夫婦の協力によって得たものと認められ、さらに離婚による財産の分与と認められた場合には、贈与税が課税されることはありません。このように、夫婦間の財産の贈与については、多くの問題が発生する場合があり、以下のように裁判になった事例もあります。
①妻が取得した建物の建築資金が、夫からの贈与ではないかと認定された裁判例
②不動産を購入する時に、夫がお金を支払ったが妻の名義で取得した場合に、夫から妻に不動産を贈与したと認定された裁判例
③妻の株式投資が、夫からの資金の贈与であると認定された裁判例
④夫婦間または親子間で、お金を受け渡した行為が、賃貸関係ではなく贈与であると認定された事例
 上記は、夫婦間の贈与に関する裁判例の一部ですが、夫婦間の贈与に関する問題はとても複雑なため、結果的に裁判例が数多く存在しています。そのため、相続税の問題は、知っている人が得をすることが非常に多くあります。上記の事例に心覚えのある方、または相続に関する問題をお持ちの方は、知らないと損をすることになるかもしれません。

 

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